この本は、フランスで1960年に出版されたルネ・ゴシニの連作短編集で、少年ニコラの日常を描いたコメディ。
日本でいうと『クレヨンしんちゃん』に近いかな。
ニコラの大好きな友人たちや、ちょと見栄っ張りの両親、いつも怒ってばかりいる学校の先生などの登場人物が、主人公ニコラの一人称で綴られ生きいきと描かれている。
子供らしいいたずらやわがまま、泣いたり笑ったりケンカしたり怒られたりと、ニコラたちの行動は単純明快。
とにかく元気で楽しい。
ジャン=ジャック・サンペの描く挿絵も、ユーモラスでセンスがよい。
その第1巻『葉巻たばこ』では、ニコラと友人のアルセストが、親に内緒で持ち出したたばこを吸おうとする。
親が喫煙者でたばこの管理が甘く、その結果、子供がいたずらのつもりでたばこに手を出す典型的なパターン。
ニコラの友人でくいしんぼのアルセストは、パパの机の引き出しから葉巻を見つけた。
アルセストは「チョコレートじゃなくて本物だぞ」と自慢げに葉巻を見せ、2人で吸おうとニコラを誘う。
ニコラは両親に怒られるような気がしたが、考えてみると「たばこを吸ってはいけません」といわれていないので(小学校低学年の子供に、わざわざそんな注意をする親はいないと思う)その誘いにのる。
マッチがなくてすったもんだした挙句、ようやく火をつけることに成功。
ところが、煙を吸い込みすぎて、2人とも気持ちが悪くなってしまった。
アルセストは「チョコレートじゃなくて本物だぞ」と自慢げに葉巻を見せ、2人で吸おうとニコラを誘う。
ニコラは両親に怒られるような気がしたが、考えてみると「たばこを吸ってはいけません」といわれていないので(小学校低学年の子供に、わざわざそんな注意をする親はいないと思う)その誘いにのる。
マッチがなくてすったもんだした挙句、ようやく火をつけることに成功。
ところが、煙を吸い込みすぎて、2人とも気持ちが悪くなってしまった。
私が初めて父のたばこに興味を持ったのは、ニコラと同じ位の年頃。
休みの日に父と一緒にテレビを見ていて、父がトイレに立った隙にたばこを咥えてみた。
なんでそんなことをしたのか、理由ははっきり思い出せないけど、深い理由もなく大人のまねをしてみようという発想だったように思う。
火をつけはしなかったが、トイレから帰ってきた父に、ひどく怒られた。
しかし、今考えると、子供の前にたばこを置きっぱなしにするほうが悪い!
父は20年以上前に亡くなっているので、文句が言えないのが残念 ( ̄д ̄)チッ
親が喫煙者の家庭では、子供も将来喫煙することが多いという。
日常的にたばこに接する機会が多いのだから、当然そうなのだろう。
たばこが家庭内という手に入りやすい場所にあり、親も吸っているというお手本が身近にいて、興味と大人へのあこがれから初めての喫煙に踏み込んでいく。
ニコラの年で日常的にたばこを吸っている子供はそう多くないと思うけど、もう少し大人になって、小学校高学年から中学・高校あたりで喫煙を始める子供たちの両親のほとんどが喫煙者だ。
平成12年度厚生科学特別研究事業「未成年者の喫煙および飲酒行動に関する全国調査」によると、父親が喫煙する場合、中学男子で2.0倍、高校男子で1.6倍、中学女子で2.4倍、高校女子で1.9倍。母親が喫煙する場合、中学男子で2.3倍、高校男子で1.6倍、中学女子で3.1倍、高校女子で2.3倍、そうでない場合に比べてそれぞれ喫煙率が高くなる。
なお、これらの数値は、いずれも1996年調査のときより上回っている。
さらに、小さな子供がいる家庭では、誤飲事故も後を絶たない。
昨年末厚生労働省がまとめた『平成17年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告について』によると、報告された子供の誤飲事故のトップは224件で、たばこがダントツ。
全体の約3割を占めている。
年齢では、6〜11か月の子供に最も多かったそうだ。
たばこの毒性と誤飲の対策については、過去記事『たばこの毒性について』でどうぞ。
たばこの煙による直接の健康被害では、喫煙する親のいる家庭では、子供に喘息や乳幼児突然死のリスクがある。
さらに受動喫煙関連の病気になる危険も2倍になるという。
こうした環境で育った子どもたちは、成人後に心筋梗塞などを引き起こす危険が多いとされている。
子供の将来を考えれば、親というだけで禁煙の理由には十分だと思うのだが。
ついでなので、ニコラの話の続きをもう少し。
家に帰ったニコラは、そのまま寝込んでしまい、ママには葉巻を吸ったことは内緒にしておいて、「煙を吸い込んで気分が悪くなった」とだけ答えた。
それを聞いたママは、パパのパイプを捨ててしまい、以後、パパはパイプをふかす権利がなくなってしまう。
それを聞いたママは、パパのパイプを捨ててしまい、以後、パパはパイプをふかす権利がなくなってしまう。
1962年、イギリス王立内科医学会で、さらに1964年にはアメリカ厚生教育省がでも喫煙が健康に与える影響について報告がなされ、その後、世界に喫煙の健康被害が知れ渡るようになる。
この作品はそれ以前に書かれものだが、一般的な庶民感覚として、たばこがどう思われていたのか知ることができるエピソードとして興味深い。
『プチ・ニコラ』は当時発売された全5巻のほか、最近になって未発表の作品がまとめられ出版された。
今読んでいるのは、新作の方の3巻目『プチ・ニコラ まいごになる』。
お隣に引っ越してきた、黄色の髪と青い目の女の子マリ・エドウィッジとのロマンス?は、ドタバタ劇の多いほかの巻と、また違った趣で楽しい。
プチニコラの公式サイトはこちら。
トップページでは、かわいいニコラのフラッシュが出迎えてくれる。
▽Le Petit Nicolas - Site Officiel
ところで、プチニコラのキャラクター商品って、まったく見かけないけど、作ったら売れそうな気がしない?
《関連記事》
▽たばこの毒性について
《関連サイト》
▽健康日本21
┗未成年者の喫煙及び飲酒行動に関する全国調査
▽厚生労働省
┗厚生労働省:平成17年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告について
▽Le Petit Nicolas - Site Officiel
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