元になった記事は「タクシーの禁煙くらい、当人同士が話し合って決めればよい」などとする内容。
出所が毎日新聞ということで一瞬目を疑ったが、よく考えてみると、公共施設や一般企業で規制が進んでいく昨今、最も禁煙化が遅れているのが新聞社などのマスコミ。
この程度の感覚の人間は、きっと多いに違いない。
とはいえ、知名度の高い新聞社の記事。
こんなんで良いのか?
と思いつつも、そのときは世界禁煙デー前で、ほかにもニュースが多かったこともあり、取り上げなかった。
元になった記事は、5月29日の毎日新聞。
すでに該当記事へのリンクは切れているが、スクラップしてあったので掲載しておく。
おおいた評論:「禁煙車」異論 /大分
ビリー・ワイルダー監督の米映画「フロント・ページ」を学生時代に見て、ブンヤ稼業にあこがれた。1920年代の記者の生態を描いた作品である。
ジャック・レモン扮する主人公は、夜も昼もない特ダネ競争に嫌気がさして転職を決意する。そこへ殺人事件が発生。「お前しか書けない」と上司におだてられ心変わり、一服つけるやタイプライターに向かう。カシャカシャ、チーン――紫煙が揺らめく画面にタイプの音だけが響く。
記者の無頼の象徴がタバコだった。弊社でもかつては先輩たちの多くが、煙くゆらせ原稿に向かっていた。床は灰皿、あちこちに焦げ跡があった。
県内のタクシーが4月から一斉禁煙に。大分合同新聞(5月3日)によるとタクシー協会への反応はほとんどが好意的だという。
嫌煙権は私も尊重する。しかしタクシーの客は顔見知り同士。吸っていいかどうかは話し合って決めればすむことでは。においが残らぬよう窓を開け、消せないほどの煙なら運転手が「ご遠慮を」と言えばよいのでは。
新聞社の「タバコ文化」に浸ってきた者の疑問に同意してくれる人がいた。シネコン全盛下、大分市で奮闘するミニシアター「シネマ5」支配人、田井肇さん。ホームページで同様の疑問を呈した上でこう続ける。
<(禁煙車は)「乗るならルールを守りなさいよ」という印象である。タバコを吸いたければタクシーには乗るな、と>
<自分は嫌だというのはわかる。だが、それを誰かに、禁止してくれないかというのは(略)「さらなるルールの強化で対応する」ということになってゆくのではないか>
<ルールを設けることがあたかも「いいこと」であるかのようになっている世の中は何だか窮屈で、怖い>
大げさな、同意見はお前くらいだと言われるかもしれない。実験を試みた。講演を頼まれた県立芸術文化短大で、100人程の聴講生に禁煙タクシーへの賛否を聞いた。ほとんど全員が「賛成」。しかし田井さんの文を紹介すると「反対」「わからなくなった」が10人ほど生まれた。
「シネマ5」は米映画「グッドナイト&グッドラック」を上映中。冷戦のさなか、魔女狩りさながらの「赤狩り」と闘ったCBSテレビキャスター、エド・マローの話である。画中、マローは、タバコをずっと手放さない。<大分支局長・藤井和人>
5月29日朝刊
(毎日新聞) - 5月29日16時0分更新
で、こちらが続きの6月12日分。
おおいた評論:本日から禁煙 /大分
藤井氏は寄せられた抗議に「何でもかんでもルールで規制するのはいかがかと言いたかったのだが」と釈明している。
しかし、たばこをルールで規制していけない理由については非常に曖昧。
ルールだらけで窮屈な気がするなんていってるけど、常識程度のルールを窮屈に感じるようなら、今までそれだけ野放図に煙を撒き散らして、回りに迷惑をかけてきたってことじゃないかな。
喫煙に規制を求めている人たちは、理由なしに規制を叫んでいるわけじゃない。
客の吐き出す煙を、四六時中吸わされる職場はいくらでもあって、そういったところで働く人たちは、今すぐにでも救済が必要なんだよ。
先月、カナダの禁煙活動家でヘザー・クロウさんという方が61歳で亡くなった。
彼女は非喫煙者だったけど、40年間レストランでウエイトレスとして働き続け、客の吸うたばこの煙に曝されてきた結果、肺がんになった。
カナダといえば、世界的にも喫煙規制が進んだ国。
日本とは違って、吸う場所を探すのも大変なほどなのに、そんな国でも相変わらず彼女のように受動喫煙で亡くなる人は後を絶たない。
日本でも、タクシー乗務員が客の吸うたばこの煙に長年曝されながら勤務を続けた結果、心臓病を患い裁判になっている。
喫煙に限っての話だけど「お互い話し合って決めればよい」では、被害者は減らないよ。
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